株式投資のリスク
株式投資には大きな魅力があり、大きなリターンも期待できますが、それと同じくらい大きなリスクがあることもまた事実です。しかも、株式投資のリスクは決して低いものではありません。
このリスクに魅力(リターン)が見合うと判断するかどうかが、株式投資の世界に足を踏み入れるかどうかのポイントになります。勿論、その判断には個人差があると思います。投資をする前に自分なりに考えてみることはとても大切なことだと思います。
それでは、リスクについて具体的に書いていきます。
値下がりのリスク
値上がりする可能性があるということは、当然、値下がりする可能性もあります。この値下がりのリスクが株式投資の最大のリスクでしょう。
バブル崩壊時やITバブル崩壊時などには、10分の1程度に下落してしまう株もありました。また、最近でも、ライブドア株が一気に10分の1程度もの暴落をしました。
このような大暴落は頻繁に起こるわけではありませんが、10%や20%程度の値下がりは珍しくありません。
株式には値下がりのリスクは常にあるのです。
もっとも、会社の業績や業績見通し、それと比べた現在の価格が割高か割安かなどを調べることで、値下がりのリスクは多少軽減できます。
倒産(経営破たん)のリスク
倒産のリスクもあります。倒産した場合、残余財産がある場合には株主に分配されますが、債務超過に陥っている場合などには、残余財産があることは期待できません。この場合、株券は紙くずになり、価値がゼロになります。
株式の場合、価値がゼロになる可能性も、少ないながらあることは認識しておくべきです。
会社が倒産したり、精算されたりする可能性は決して高くないですが、可能性はゼロではありません。実際に、上場企業の中にも破綻するところはあります。
ただ、投資する前に会社の財務内容や業績について調べておくことで、このリスクはかなり軽減できるでしょう。
上場廃止のリスク
また、倒産はしないものの、上場が廃止されるリスクもあります。上場基準を満たした株が証券取引所に上場されるのですが、上場基準を満たさなくなるなどすると、上場が廃止になる可能性があるのです。最近では、西武鉄道株が上場廃止になったのが有名です。
ただ、上場廃止は倒産とは違って、いわゆる「紙くず」になるわけではありません。価値がゼロになるわけでもありません。
ただし、上場廃止になると証券取引所での取引が出来なくなるので、株価が相当下がることは予想されます。
※仮に上場廃止になっても、再上場の可能性も残されています。また、日本には市場がいくつもあり、市場によって上場基準が異なるので、別の市場に上場しなおすということも考えられます(たとえば、東証から上場廃止になった銘柄が、ジャスダック市場に再上場するなど)。
また、未上場株を取引するグリーンシート市場という市場もあります。
なお、上場廃止になる場合、通常はまず監理ポストというポストに移されます。監理ポストとは上場廃止の恐れのある銘柄が、そのことを投資家に周知徹底させるために置かれるポストです。
上場廃止が確定すると、監理ポストから整理ポストに移されます。整理ポストとは、上場廃止が決まった銘柄が入るポストです。上場廃止が決まってもすぐ上場廃止になるのではなく、しばらくの間は、上場廃止の事実を投資家に周知徹底させるために、他の上場銘柄とは区別した特別のポストにおいた上で、通常通りの取引が行われるのです。
ただし、監理ポストに入った銘柄が必ず整理ポストに移されるわけではなく、上場基準を満たしていると判断された場合には、通常のポストに移されることもよくあります。
監理ポスト、整理ポストにある銘柄については充分に注意し、リスクを認識したうえで売買する必要があります。
監理ポストと整理ポストに入った銘柄は、通常ポストに戻る確率が高かったり、明らかに安すぎる水準にあったり、リスクを承知で短期の値幅を取りに行く以外は、手を出さないほうが望ましいと思います。
売りたいときに売れないリスク
株式投資には、売りたいときに売れないリスクもあります。
このリスクはあまりクローズアップされることはありませんが、以外に重要なポイントです。たとえば、暴落する株式は、売り手しか現れず、買い手が現れないことがあります。この場合、株を売ることが難しくなります。「いくらでもいいから売りたい」と投げ売り的に売ってしまおうとしても、全く買い手が現れないことももあるのです。
また、株式数が少なかったり、大株主が多くの株式を持っているなどの理由から流動性の低い株式の場合、上昇局面でも売りにくいこともあります。仮に、現在の株価が1500円だったとしても、1500円で買ってくれる人が現れないと、1500円で売ることは出来ないのです。
初心者の場合は、常に株価ボードの値段で売り買いできると思ってしまいがちですが、この点は、あらかじめ認識しておくべきでしょう。
売りたいときに売れないリスクを回避するには、株式を購入する際に、過去の出来高(売買が成立した件数)もチェックしておくといいでしょう。過去の出来高があまりに少ない銘柄だと、売れないリスクが発生する可能性が高くなります。
このように、株式投資にはいくつものリスクがあります。ただし、リスクに見合うだけのリターンもあります。
リスクとリターンを理解し、把握した上で、株式投資を行うようにしましょう。
(文責:K.H)