証券会社の選び方
大前提として、取引する証券会社は一つに絞る必要はありません。複数の証券会社と取引している人も少なくありません。
株式投資においては投資情報や企業情報を仕入れるのも重要ですが、情報を仕入れるためにも、複数の証券会社に口座を持っておくことは無意味なことではありません。口座を持っている人しか入手できない情報もあるので、情報の充実している証券会社に、情報収集のためだけに口座を持つことも面白いと思います。
口座手数料が有料のところは別ですが、口座手数料が無料のところならばいくら口座を開設してもお金は掛からないので、複数の証券会社に口座を開設して、実際に使ってみて、自分にとって使い勝手がいいところを選ぶのもひとつの方法ではないでしょうか。
もう一つの前提として、大手だから信頼でき、中小だから信用できないということは当てはまらないということです。むしろ、大手に比べてネット専業の証券会社のほうが使い勝手や手数料で勝っている場合が少なくありません。
ネームバリューに捉われずに、証券会社を選ぶことが大切でしょう。
続いて、証券会社を選ぶポイントを箇条書きにして見ます。
@手数料
A使いやすさ
B情報の充実度
この他にもポイントはあると思いますが、この三点に絞って説明したいと思います。
証券会社の手数料
現在では、株式売買の委託手数料は自由化されています。以前と比べると、全体的に手数料は安くなっています。
ただし、証券会社によってかなりの開きがあります。
デイトレードなどの短期の利ざや稼ぎをメインに考えている人にとっては、手数料は証券会社選択の際の決定的な要素になると思います。
それ以外の人にとっても、手数料の高低は非常に重要な要素です。
株式売買の手数料には大きく分けると二種類あります。
一つは、取引ごとに一定の金額の手数料が掛かる方式です。
もう一つは定額制です。定額制とは、取引ごとに手数料がかかるのではなく、一日の手数料が一定の金額に決まっている制度のことです。たとえば、約定代金(取引した株式の代金)が300万円以下なら、一日に何回取引しても手数料3150円、というように手数料が一定金額であるような制度です。
一般的には、何度も取引を繰り返すような人には定額制が向いていて、あまり取引をしない人には、取引ごとに手数料が掛かる制度のほうが向いている傾向にあります。
ただ、必ずしもそうは言えない場合があります。
たとえば、300万円以下なら、手数料が3150円という証券会社と、手数料は約定代金の1%という証券会社を比較した場合、約定代金40万円の株式を購入したとします。約定代金は300万円以下なので、前者の証券会社の手数料は3150円になります。一方の後者の証券会社の場合には、40万円の1%なので4000円になります。
つまり、一回の取引でも、約定代金が高額な場合には、定額制をとっている証券会社のほうが得な場合があるのです。
また、証券会社の中には、10万円、あるいは20万円以下の取引については無料にしているところもあります。
20万円以下で買える株も少なくないので、これも大きなポイントと言えるでしょう。
いくつかの証券会社の手数料を比較して、実際に自分がどんな取引をするのか簡単なシュミレーションをして比較すると分かりやすいかもしれません。
手数料の値下げ競争は今後も続いていく可能性もあるので、こまめに手数料情報をチェックして、証券会社ごとに比較するのもいいと思います。
株券等の保護預りを利用する場合(大抵の人は利用することになると思います)、保護預り料もポイントになります。
保護預り料は証券会社によって違いますし、保護預り料が無料の証券会社もあります。
証券会社の使いやすさ
使いやすさも大切な要素です。
いくら安くても、使い勝手が悪くて注文に手間取るようでは、ストレスが溜まりますし、デイトレードの場合には、注文するタイミングが遅れることで設ける機会を失ったり、損をしたりしかねません。
逆指値などの特殊な売買方法が出来るかもポイントです。逆指値とは、株価の上昇にも下落にも対応する注文形態です。注文時に高い値段と低い値段の二つの値段を指定しておきます。指定しておいた株価まで下落したら売り、指定しておいた株価まで上昇したら買い、になります。
逆指値注文には、一日中相場の動きを見ていなくても、急激な相場の変化に対応できる等のメリットがあります。
逆指値のほかにも、様々な注文形態を用意している証券会社もあります。
ただし、初めて株式投資をするために証券会社に口座を持とうとするときには、いくつもの注文形態が用意されていても、意味がよく分からないのではないでしょうか。
従って、この点は初めて口座を持つ際にはあまり気にせず、慣れてきて不便を感じた時点で、他の証券会社と比較してみるのもいいかもしれません。
証券会社によってはデモ画面も用意されているので、デモ画面で取引を体感してみるのもいいでしょう。
複数の証券会社に口座を持ち、実際に使ってみて、使いやすさを判断するという選択もあると思います。
使いやすさの判断には、実際に使ってみるのが一番ですが、使いやすさの目安としては、時価や気配値がリアルタイムで見られるか(大抵の証券会社では見られるはずですが)、見られるとして見やすいかがポイントになると思います。
そして、何より、注文がスムーズに出来るかが最大のポイントでしょう。
証券会社の情報の充実度
株式投資をする上で、情報は非常に重要です。株式投資とは、会社の将来に投資するようなものです。現在の価値(株価)が上がるのは、将来に向けた企業価値の上昇に対する期待によって株式に買いが集まるからなのです(勿論、それ以外の要因もありますが)。
そして、将来企業価値が増加するかは情報によって判断することになります。
企業の発表する情報には、新製品の発表、新技術の開発、新たな企業買収、収益の上方修正などがあります。
また、配当を増やす増配の発表なども株価上昇要因になります。自社株買いも株価上昇原因ですし、現在問題視されていますが、株式分割も株価上昇要因になります。
ポジティブな情報だけではなく、ネガティブな情報も大切です。ネガティブな情報が発表されると、株価が下がるからです。
ネガティブな要因としては、新製品の発売延期、技術開発の頓挫、買収の失敗、企業業績の下方修正などがあります。
企業の発表する情報だけではなく、海外の株式市場や、海外市場での日本株式の先物などの値も株式市場を左右します。
日本や外国の政府や中央銀行の政策が株価を左右することも珍しくありません。
株式投資においては、こういった情報をいち早くキャッチし、将来の株価を予想することが非常に大切です。
情報は新聞やネットでも収集可能ですが、証券会社を通して情報を得ることも出来ます。
どの証券会社でも無料情報と有料情報があります。無料情報は口座を開設している人なら誰でも見られるものです。有料情報は、情報料を払って閲覧することになります。
有料情報を利用するかは個人がそれぞれ判断することですが、無料、有料含めて、情報の充実度も証券会社選びのポイントになると思います。
※ミニ株
ミニ株とは、通常の売買単位の10分の1から購入できる株式のことです。ミニ株を利用すれば、少額しか投資できない場合にも、株式投資を行うことが出来ます。
ただし、ミニ株を取り扱っていない証券会社もあります。
ミニ株の取引をしたい人は、ミニ株を取り扱っている証券会社を選ぶようにしましょう。
このようなポイントを元に、取引する証券会社を選択していきます。
人によって、適している証券会社は違うかもしれません。資料をじっくり見たり、実際に使ってみて、自分好みの証券会社を見つけましょう。
(文責:K.H)