保護預りと保管振替制度(ほふり制度)
保護預りとは、銀行や証券会社に有価証券の本券を預けておくことをいいます。株式を売買するといっても、実際には投資家が株券を手にしないことがあるのです。
自分で株券を保管することにはいくつかの欠点があります。
自分で株券を所持している場合、証券会社に取引のつど株券を受渡さなくてはならなくなります。長期保有の場合は別ですが、売買を頻繁に繰り返す場合、証券会社との間でいちいち株券の受渡しを行っていては面倒です。
また、法律上は株券の所持人が株主とみなされますが、株券が盗難にあったり、火災等で株券が紛失してしまった場合に非常にややこしいことになります。
自分で株券を持たずに、証券会社等に株券を預けておく保護預りを利用すると、これらの欠点を事前に回避することが出来ます。
便利な制度であると言えるでしょう。
なお、保護預り料は証券会社によって違うので、証券会社を選ぶ際のポイントの一つになります。 保護預り料が有料の証券会社で取引をする場合には、株を購入する前に保護預り料を払っておきましょう。
保管振替制度(ほふり制度)についても説明しておきます。
一言で言うと、ほふり制度とは、株式会社証券保管振替機構を利用して、株券を集中保管することです。
証券保管振替機構は株券等の保管及び振替に関する法律に基づいて、証券会社から預けられた投資家の株式を集中保管します。
詳しい仕組みを説明することは省略しますが、本来は株主としての権利を行使するためには株券を所持していることが必要なのですが、ほふり制度を利用すると、株券自体の受渡しを行うことなく、株主に株主としての権利を発生させることが出来ます。
保護預り料が有料の証券会社の中には、保護預り制度を利用して証券会社へ株式を預けたあと、保管振替制度を利用した場合には、保護預り料が半額になるところもあります。
(文責:K.H)