特定口座とは
特定口座とは文字通り、一般の口座と区別するために特定されている口座のことです。特定口座を開設し、特定口座を通じて取引をすると譲渡益課税の申告がとても楽になります。
特定口座は、確定申告対策のために存在しているようなものなので、特定口座について説明する前に、簡単に株式や投資信託の譲渡益課税について説明しておきましょう。
現在、株式等の有価証券の譲渡益課税方式は、申告分離方式に一本化されています。かつては、源泉分離課税も選択可能でしたが、平成15年から申告分離課税に一本化されたのです。
源泉分離課税を選択した場合、譲渡益が発生するたびに自動的に一定割合の税金が控除(源泉徴収)されていきます。従って、税金の計算も、申告も不要でした。
現在では源泉分離課税は廃止され、申告分離課税に一本化されています。
申告分離課税の場合、一年間の損益を通算して、利益が出た場合にのみ申告を行うことになります。源泉分離課税は、他の取引で損失が出ていても利益が発生したときには一定割合の税金が控除されてしまいますから、その分だけ申告分離課税のほうが有利だということになります。
しかし、一年間の損益通算の計算は非常に面倒です。デイトレードなどで、一日に何回も取引をした場合、非常に大変な作業になります。
ここで、特定口座が大きな意味を持ってくるのです。特定口座を開設しておき、特定口座を通じて取引を行うと、証券会社が投資家に代わって譲渡所得等の計算を行ってくれ、損益通算も行ってくれるので、自分で複雑な計算をすることがなくなり、確定申告が簡単に行えるようになります。
取引ごとに譲渡所得から源泉徴収される方式を選んだ場合には、確定申告することも不要となります。
特定口座は、譲渡益の計算と損益通算をしなくて済むようになる、とても便利なものなのです。
ただし、特定口座を開設していても、特定口座を通さないで行った取引については、自分で損益を計算しなくてはならないので注意しましょう。
なお、特定口座を通じて行った取引については、確定申告の時期の前に、特定口座年間取引報告書にまとめられて、証券会社から送付されてきます。
特定口座年間取引報告書には、譲渡によって得た収入と取得に要した費用、そしてその差益(差損)が記載されています。源泉徴収なしを選択した場合、この報告書をもとに確定申告を行うことになります。
複数の証券会社を通じて取引した場合、全ての証券会社の特定口座年間取引報告書に記載されている差益(差損)を合算して申告を行うことになります。
損益通算した結果、年間を通して差損が発生したときには、確定申告をする必要も税金を納めることも必要ありません。
ただし、損失が発生した場合でも確定申告することをお薦めします。損失を確定申告しておくと、損失を翌年に繰り延べできるからです。繰り延べした損失は、翌年の利益と損益通算できるのです。
なお、源泉徴収ありを選んだ場合、払いすぎた税金がある場合には、年末調整で戻ってくるので、源泉徴収ありを選んだとしても、損をすることはありません。
(文責:K.H)